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糖キング 糖の流れに魅せられた男が語る(Talking)糖尿病のお話。 二田哲博クリニック 糖尿病専門医・指導医 野見山崇

【第11話】
新・糖尿病連携手帳

正直“やばいっ”と思った。日本糖尿病協会が発行する糖尿病連携手帳の改訂委員長になってしまった!!
私は日本糖尿病協会の幹事と言う大役を仰せつかっている。受諾したときは名前だけ入れておいて、書類にYes or Noのサインだけすれば良いと思っていたが、実際には結構頻回にミーティングがあり、活発に活動している。啓発委員会という、協会の啓蒙活動を中心とする委員会に出席したときの事だった。理事長が糖尿病連携手帳の改訂を提案された。私はふんふんと他人事と聞いていたら、“改訂のメンバーは幹事で、委員長は幹事のメンバーでここにいる野見山先生!”と聞き覚えのある名前が理事長の口から発せられた。それって、俺か~っ!糖尿病連携手帳とは、医療スタッフが手帳に所見やコメントを記入し、患者さんを中心とした連携を図る、いわば交換日記的な役割を果たす重要なツールであり、日本糖尿病協会の発行するもののなかで、最も数多く一般配布され世間の目に触れる発行物である。



その改訂を協会のメンバーになって間もない、しかも留学から帰国以来全く連携手帳を使いこなしていない私が委員長で改訂するとは。窮地に追い込まれた気分であった。
ところが、2015年4月26日第1回改訂委員会でメンバーが集まった瞬間、私の不安は希望へと一転した。今回の改訂メンバーは日本糖尿病協会幹事のメンバーに加え、歯科との連携に精通されている赤司朋之先生だ。幹事という役割は実にあいまいで、理事会の際オブザーバーとして参加する若手(?)という事になっているようだが、顔と名前は分かっているが深いディスカッションはあまりした事がなかった。しかし、5回にわたる改訂委員会を通じて、わが国にはこんなにも糖尿病療養指導に熱く人生を燃やしている人々がいるのだと勉強させられた。
ここで、簡単に新・糖尿病連携手帳の変更内容をご説明しよう。表紙は相変わらず野菜の顔だ(笑)。

糖尿病連携手帳 日本糖尿病協会


内容は、患者さんが血糖コントロールに限らず、トータルで幸せになって頂きたいという願いと“一目で分かる”というコンセプトのもと改訂した。

P1
下段の文章を“よりよい糖尿病療養生活”から“よりゆたかな暮らし”に変更した。患者さんが糖尿病の事だけでなく、トータルライフとして幸せになって欲しいという願いが込められている。

糖尿病連携手帳1ページ目(日本糖尿病協会)

P3の概略では患者さんの高齢化に伴い、介護の現場での連携が増えるであろう事から、ケアマネージャーという項目を追加した。

糖尿病連携手帳3ページ目(日本糖尿病協会)

P8~13
検査結果の項は1ページ見開きで6回分の検査結果が一覧できるように改訂。また、治療のポイントが受診ごとに記載できるよう、各欄の下にスペースを設けた。2列空白の検査項目記載欄にはグリコアルブミンや1,5AGといった各施設で使われているHbA1c以外の血糖管理指標や、アミラーゼなど患者さんに必要な検査結果を自由に記載できる。

P14~15
眼科・歯科受診のページを見開き1ページにまとめた。今回の改訂のテーマである“一目で分かる”がこちらのページと検査結果のページに表れている。

P16~19
今回の改訂で最大の目玉の一つが合併症関連検査のページの新設だ。三大合併症である神経障害、網膜症、腎症に加え、歯周病の有無、下肢病変を記載する足チェック、動脈硬化の発症進展を検査する頚動脈エコー、上腕足関節血圧比(ABI)、脈波伝播速度(PWV)と多岐にわたる。一般的な検査としての心電図、レントゲンに加え、最近糖尿病患者さんでは癌が多い事から(糖キング第03話参照)、それらを早期に捕らえる目的で、腹部の画像検査と便鮮血の項目を加えた。また、こちらの項にも2列の空欄があり、認知症が疑われる患者さんは長谷川式簡易知能評価スケールの点数を記載し、脳血管疾患の既往のある方は頭部MRIの結果を記載するなど、患者さんのニーズに合わせてご使用可能となっている。1年間でこのページの全ての欄を埋めるつもりで診療すると、合併症の評価に抜けが無くなると考えた。

糖尿病連携手帳16ページ目 17ページ目(日本糖尿病協会)

以上、簡単だが新・糖尿病連携手帳の改訂点を紹介した。詳細は“さかえ”の4月号を参照いただきたい。全体として約1~2年で使い終わるよう設定されており、記録と記憶を込めたカレンダーのような役割が出来れば幸いです。編集委員の思い入れが詰まった手帳をご活用頂きたい。

こういった作業をしていると、必ず外野からいらぬ横槍を入れてくる輩が必ずいる。部活では主将、研修医のときはレジデント代表と常に矢面に立たされてきた私は何度もそのような局面を経験している。今回も同様、改訂の過程で様々な“非公式のご意見”を頂いた。比較的若いメンバーで構成された今回の改訂委員は若干怖気(おじけ)づいたときがあった。そんな空気を察知したとき私は言った。“全ての人が満足する手帳などこの世にない。我々は我々の手帳を作成し、文句がある人には次回の改訂委員に立候補していただこう!”と。その時全員の気持ちがスーッと融合していくのに気付いた。何とも言いがたい、心地よい感覚だ。同様の感覚は全米剣道選手権大会団体戦の前にも味わった事があった。糖尿病手帳改訂で得られたものは、功績でも名誉でもない。これから共に同じ船で旅を続けるであろう掛け替えのない仲間だったと思う。このような機会を下さった日本糖尿病協会理事長の清野裕先生と編集員のメンバー(下記)、協会の岩村元気さんに深く感謝します。皆さん、我々が休日返上で改訂した糖尿病連携手帳を大切に使ってください!

糖尿病連携手帳編集委員(敬称略)
赤司朋之、工藤宏仁、柴田大河、津村和大、平井洋生、三好秀明、矢部大介、脇裕典





<残心>受け継がれる知識と心
昨年、日本糖尿病合併症学会Young Investigator Awardを受賞させていただきました。私がYoungか?という議論はさておき、合併症の研究に長きに渡り携わってきた私にとって、至極の喜びでありました。さらに、今回の受賞にもう一つ大きなオプションが加わりました。4人の受賞者のうち、私を含めた3人が滋賀医大第三内科(当時)経験者であったという事です。私が順天堂大学から河盛隆造先生、田中逸先生のご高配により滋賀医大に国内留学させて頂いた当時、滋賀医大第三内科は現在全国で教授に就任されておられる蒼々たる先生方が一つの医局に在籍されておられました。その中でも、私が御指導いただいた柏木厚典先生には大変お世話になりました。柏木先生はいつもポジティブに我々を御指導くださいました。私がどう考えても大失敗のぐちゃぐちゃのウエスタンブロットをお見せしても“うーん、これは何か出とるでー、もう一回やってみて~”と、関西弁で励ましてくださいました。お弁当はいつも昼食と夕食の二食分を持参され、大学院生の実験結果が出るまでお待ちでした。ですから我々大学院生はなかなか帰れません(笑)。
その後は綿田裕孝先生の下研究を続けましたが、あの時があったからこそ、今の自分があると思います。私が今の立場になり、大学院生を指導するとき、柏木先生のような指導が出来ているかと思い、恥ずかしくなる時があります。私の第二の母校、滋賀医大の仲間と受賞できた事を誇りに思い、柏木先生の知識と心を次世代に伝える責務に背筋を伸ばした瞬間でした。

左から森野勝太郎先生、筆者、柏木厚典先生、森岡与明先生、金崎啓造先生 2015年11月27日撮影

左から 森野勝太郎先生、筆者、柏木厚典先生、森岡与明先生、金崎啓造先生(2015年11月27日撮影)





残心(ざんしん)】日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。また技と同時に終わって忘れてしまうのではなく、余韻を残すといった日本の美学や禅と関連する概念でもある。(Wikipediaより一部抜粋・転載)






【第01話】多くの人生を変えたミラクルドラック・インスリン
【第02話】HbA1cの呪縛
【第03話】糖尿病と癌
【第04話】糖毒性という名のお化け
【第05話】医者らしい服装とは?
【第06話】食後高血糖のTSUNAMI
【第07話】DMエコノミクス
【第08話】インクレチンは本当にBeyondな薬か?
【第09話】守破離(しゅ・は・り)
【第10話】EMPA-REG OUTCOMEは糖尿病診療の世界を変えるか?
【第11話】新・糖尿病連携手帳
【第12話】過小評価されている抗糖尿病薬・GLP-1受容体作動薬
【第13話】ADAレポート2016
【第14話】メトホルミン伝説
【第15話】Weekly製剤を考える
【第16話】糖と脂の微妙な関係
【第17話】チアゾリジン誘導体の再考~善とするか「悪とす」か~
【第18話】糖尿病患者さんの死因アンケート調査から考える
【第19話】Class EffectかDrug Effectか
【第20話】糖尿病治療薬処方のトリセツ執筆秘話
・・・次回「大規模臨床試験の影の仕事人」 2018年1月15日頃公開予定

*文章、画像等を無断で使用することを固く禁じます。

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