糖尿病専門医・指導医 野見山崇 | 糖尿病についてのコラム

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糖キング 糖の流れに魅せられた男が語る(Talking)糖尿病のお話。 二田哲博クリニック 糖尿病専門医・指導医 野見山崇

【第05話】
医者らしい服装とは?

今回は完全に私の個人的な“愚痴”なので、あまり真面目に読まないで頂きたく、ご興味のない方はスキップして頂いて結構です。

私はよく患者さんや周囲の人々に「先生は医者らしくないですね」と言われる。多くの場合、笑顔で言われるので好意的な意味と受け取って良いのであろうが、では医者らしい人や医者らしい身形服装とはどんな人をさすのであろうか。私は子供の頃、正月に祖母から“クワイ”を食べるよう勧められていた。その意味は、昔の医者が辮髪(べんぱつ)だったから、クワイを食べたら医者になれるという都市伝説的な祖母の信念であったが、実際に当時は勉強が苦手だった私が医者になっているのだから、あながち軽視できない呪いかもしれない(笑)。しかし、今の時代に辮髪の人はカンフー映画でしか見かけないであろう。

クワイと辮髪(べんぱつ)

医者という言葉をGoogleで検索すると下記のような人物像が描かれている。概ねメガネ、薄い頭髪、髭、ネクタイ、白衣である。つまり、このようなスタイルが一般的に言う医者らしい人物像のようだ。そして私はこのような印象から程遠い存在であり“医者らしくない”というほめ言葉(?)を頂くのであろう。

医者のイメージ

誰が医者らしいか否かは主観もあるので、結論を下すべき問題ではないが、医者らしく見えるようにしなくてはいけないという規律を設けるのは間違っている。私が以前勤めていたJ大学医院は医者の服装にMADに厳しい病院だった。規則のゆるい公立高校を卒業し、学生時代はジャージか剣道着で過すのが常であった私にとって、衝撃的な規則が数多くあった。当然茶髪は厳罰に処されるわけだが、最も愚かな規則は長袖白衣の下はワイシャツにネクタイを締めなくてはいけないというものだ。したがって、患者さんが急変していても、シャキッとネクタイを締めてから病室に駆けつけなくてはいけない。担当患者さんが急変し、心臓マッサージをしている時、私のネクタイが患者さんの顔を覆ってしまった間抜けな経験がある。また、ある内科では半袖白衣の下にアンダーウェアを着てはいけないという規則があり、肌の弱い私はクリーニングの洗剤に負けて全身に湿疹ができてしまった。果たして、これらの規則は患者さんや医療行為のためになっているのか疑問である。形式ばかりの自己満足ではないか。そもそも、本来作業着であるはずの白衣はいつから制服やペルソナになってしまったのであろう。清潔には十分気を配る必要はあるが、見た目の良し悪しは個人の決めることではないか。当然のことだが、生意気盛りの当時の私はそんな無意味で理不尽な規則は守らなかった。患者さん達からは茶髪先生と呼ばれ(医者を先生と呼ぶことにも異論があるがそれは次の機会にしよう)、頓知(とんち)の利いたベテラン看護師は私の外来を“野見山ホストクラブ”と呼んでいた。それは最高の褒め言葉だ。なぜならナンバーワン・ホストは見た目の格好良さではなく、相手の話を良く聞く傾聴に長けている人だからだ。


今どきの若い女医が数多く所属するうちの医局はとても華やかだ。しかし、私は彼女たちの髪の毛の色や睫毛(まつげ)の長さを注意したりはしない。若い女性が歳相応に着飾るのは自然で素晴らしいことであるし、そうすることによって彼女たちが気分良く、心に余裕を持って患者さんに優しく接することが出来るのであれば、そのほうが良い。担当医が茶髪や付け睫毛(エクステ)だと、HbA1cが高値であるといった論文はない。しかし、知識や患者さんとの対話の不足は厳しく追求する。なぜならそれが患者さんの未来を大きく変えてしまう重要なことだからだ。剣道には剣道形があり、我々剣道家は形から技前、礼法、所作といった三つの要素を修行する。その中で最も重要視されているのが“技前”である。なぜなら、多少の所作や礼法の乱れはちょっと格好悪いだけであるが、技前の不出来は敗北すなわち死に直結するからだ。 白衣にワイシャツ・ネクタイを締め、ふんぞり返って患者さんの話も聞かない医者と、ホストクラブのように患者さんの話に耳を傾ける茶髪先生は、どちらが“医者らしい”のであろうか。お医者様と呼ばれた時代を脱却し、本当の患者さんのニーズに応える医療に進化する時代が来たと考える。



<残心>医者と白衣、ソムリエとバッジ
福岡市西新に“コキンヌ”というカジュアルフレンチの店があります。私と妻の大のお気に入りのお店で、Tシャツ姿のシェフが一畳半あまりのキッチンを所狭しと走り回り、季節の美味しい野菜や食材を生かした燻銀(いぶしぎん)のフレンチをご馳走してくれます。そこに以前、若い女性のソムリエが居ました。とても感じの良い人だったので、私も妻も応援していて試験に合格した直後は、バッジを付けているのを見ておめでとうと喜びました。しかし、その次に行ったとき、ソムリエの彼女はバッジを付けていませんでした。まさか資格が剥奪されたのかと心配になり、バッジは付けないのですかと私が尋ねると「バッジがなくてもソムリエと分かってもらえるようになりたいんです」と答えが返ってきました。剣道の世界でも似たような逸話があります。ある剣道家の弟子が、「先生は何段ですか?」と尋ねると、師匠は黙って弟子に稽古をつけた後、ボロボロになった弟子に「何段か分かったかい?」と告げたそうです。
肩書きや身形にこだわっている様では、一流と言えないのではないでしょうか。また、よくテレビで“医学博士”と称号して白衣を着てコメントしている方々が居られますが、すべての人が医師免許(臨床医としての資格)を持っているわけではないことを、患者さんや一般の皆様にご理解いただきたいと思います。





残心(ざんしん)】日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。また技と同時に終わって忘れてしまうのではなく、余韻を残すといった日本の美学や禅と関連する概念でもある。(Wikipediaより一部抜粋・転載)






【第01話】多くの人生を変えたミラクルドラック・インスリン
【第02話】HbA1cの呪縛
【第03話】糖尿病と癌
【第04話】糖毒性という名のお化け
【第05話】医者らしい服装とは?
【第06話】食後高血糖のTSUNAMI
【第07話】DMエコノミクス
【第08話】インクレチンは本当にBeyondな薬か?
【第09話】守破離(しゅ・は・り)
【第10話】EMPA-REG OUTCOMEは糖尿病診療の世界を変えるか?
【第11話】新・糖尿病連携手帳
【第12話】過小評価されている抗糖尿病薬・GLP-1受容体作動薬
【第13話】ADAレポート2016
【第14話】メトホルミン伝説
【第15話】Weekly製剤を考える
【第16話】糖と脂の微妙な関係
【第17話】チアゾリジン誘導体の再考~善とするか「悪とす」か~
【第18話】糖尿病患者さんの死因アンケート調査から考える
【第19話】Class EffectかDrug Effectか
・・・次回「糖尿病治療薬処方のトリセツ執筆秘話」 2017年11月15日頃公開予定

*文章、画像等を無断で使用することを固く禁じます。

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